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大塚家具4つのシナリオ

2020.07.01

大塚家具

2013年頃から大塚家具の勝久氏と久美子氏の経営権を巡る争いに注目してきました。

昨年12月のヤマダ電機の傘下に入った時点で、ゲームオーバーと思われましたが、まだまだ続きがあります。

絶体絶命の窮地に追い込まれた時、自分ならどうするだろう、この判断は正しいのか、など自分なりに推察しながら見てきました。

今まで見てきたストーリーも7月30日に幕引きとなりそうです。

その時の、小生の妄想するシナリオは4つ

①来期の黒字化計画案がヤマダ側に承認されれば続投
②来期の計画案の別として飾りとして続投させる
③勝久氏と和解させてドラマチックな演出によりイメージアップ
④4期連続赤字の責任をとって解任

 

4期連続赤字

2019年12月にヤマダ電機は大塚家具を子会社化したのは周知の事実ですが、今期4月決算において77億円の史上最多で4期連続の赤字を計上しました。

ヤマダ電機と統合することで在庫の評価損が指摘され特別損失を計上したことも77億円の損失に影響はしていますが、昨年の12月のヤマダ電機と統合した頃は営業キャッシュフローが56億円に膨らんだにも関わらず、4月には36億円になってます。

4ヶ月で20億円溶かしてしまいました。

親会社のヤマダ電機として暴走する子供をどのようにしつらえるのでしょうか。

しかし、大塚家具の損益場ばかりが注目され4期連続赤字、上場廃止などネガティブ情報が席巻していますが、バランスシートに目をやると意外な姿も見えてきます。

自己資本比率が63%。まぁ、悪くないですね。

流動比率も237%。優良企業なみです。

2020年4月時点

当面は大塚家具の全国7カ所のショールームで家電の展示販売を一斉に開始するなど、家電と家具・インテリアを融合する店舗展開で、営業損益、経常損益、当期純損益の改善から経営再建を目指しています。

ヤマダから送られた刺客か

今回の取締役人事の発表は、大塚家具にとってはしのび寄る沈黙の刺客ではないでしょうか。

ヤマダ電機主導の体制はさらに強めた形となりました。

ヤマダ電機の現行社長の三嶋恒夫氏が代表権付きの会長としてヤマダ電機社長と兼任します。

大塚家具は同時に取締役を「7名以内」とする現行の定款を「9名以内」に変更したのは、ヤマダ電機側から三嶋氏を含む4人の取締役が入り、新任の社外取締役1人(おそらくヤマダ側)を含む5人が加わります。

ヤマダの5人が大塚家具の現行の4人の取締役という構造で、ヤマダ側からから飲み込まれているのは誰の目にも明らかでしょう。

2021年4月までは久美子社長の続投は決定しているという件を耳にしましたが、誰が続投の決定をしたのでしょうか。

おそらく大塚家具の7名の旧役員で決定された事項なのでしょう。

しかし、7月30日の取締役会で過半数の株を持ったヤマダ電機は来年の4月までこの緊急事態で続投を認めるのでしょうか。

どうでしょう。

繰り返しますが、

5対4です。

小生の妄想するシナリオは4つ

①来期の黒字化計画案がヤマダ側に承認されれば続投
②来期の計画案の別として飾りとして続投させる
③勝久氏と和解させてドラマチックな演出によりイメージアップ
④4期連続赤字の責任をとって解任

 

①来期の黒字化計画案がヤマダ側に承認されれば続投

これは難しい選択です。

決算短信では業績の落ち込みを下記のように報告しています。

《店舗販売につきましては、閉店による店舗数の減少と新築まとめ買い需要依存度の高い大型店における入店件数、

接客件数の低迷、新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防の観点から一部店舗を臨時休業及び営業時間短縮としたこと、また、政府及び各自治体からの外出自粛要請もあり、春の最需要期の取り込みが想定を大きく下回ったことにより売上は低調となりました。以上の結果、売上高は348億55百万円となりました》と業績の落ち込みを報告しているが、どうも原因の本質を追求するのを避けて問題そのものをコロナに添え置いているという印象が強い。

今期の取り組みとしても、
“リアルからバーチャルへの領域拡大の取り組み”や“BtoCからBtoBへの取り組み”などを強調しているが、これまでの理想とする計画の発表、そして赤字(言い訳)を繰り返すようではヤマダの5人の刺客は納得しないだろう。久美子社長の計画案が承認されなけれず、解任動議を出された場合は可決を避けることは不可能だろう。

②来期の計画案の別として”飾り”として続投させる

これはあるかもしれない。

知名度もそこそこある久美子社長だが、お家騒動の果に4期連続赤字でそのまま留任となればメディアからのバッシングは避けられないだろう。

しかし、腐っても創業家で長女の久美子社長をドラスティックに解任してしまえば、世間の目はヤマダ電機の無慈悲なやり方にイメージダウンを恐れるのではないだろうか。

特にヤマダ電機も大塚家具もB to C中心のビジネスモデル。

イメージの良し悪しは売り上げに直結するのでこれはデリケートな問題で扱いに注意が必要だろう。

しかし、二頭体制を築くのは予想以上に久美子氏のもとで働く役員や社員のモチベーションの低下を招くのは必至である。

久美子社長の意に反しないヤマダ側の決定を自分の部下である役員や社員が実行する様を快く思うはずがなく、自尊心の強い久美子社長が精神的に耐えることができるのだろうか。

ヤマダ側から代表権付きの社長が5人の役員から登用され、久美子氏は平取締役という位置で収まることも予測される。

③勝久氏と和解させてドラマチックな演出によりイメージアップ

これは賛否が分かれるところだと思う。

これらのイメージアップ作戦が演技とメディアに取られれば逆効果。

バッシングの格好のネタになるのは避けられない。

もう一つ、いくら親子でも勝久氏が受け入れるだろうか。手塩にかけて育ててきた事業を娘に取られ、挙げ句の果てには他社に売って、いまだ赤字垂れ流す失態を前に勝久氏は容認するだろうか。

また、匠側の兄弟は久美子氏を肯定するだろうか。

うまくまとまれば、家電と家具と家と家族が織りなす幸せを具現化するイメージが作れて

ヤマダも大塚も匠もウィンウィンの絵が描けるのだが、如何せんこのシナリオを作るのが難しい。

偶発的な結果が最終的に勝久氏と久美子氏の和解に繋がって、結果的に3社がキレイなビジョンを描くことができたというなら別だが、現実はそんなに甘くない。

また、一度入った親子の亀裂は想像以上に深い。

④4期連続赤字の責任をとって解任

瀕死の重傷を負った会社を再建する場合、先代の経営者は負債の責任をとって退場する事になるのは最も現実的で効率ともされる。

本来でいうなら昨年12月の身売りした段階でバッター交代。

本来なら、3アウトバッター交代だが、今回ボーナスがついてそれもダメだから問答無用で交代。

しかし、今回ヤマダ電機が久美子社長を切った時は、世間に衝撃が走るであろう。

ヤマダ電機の無慈悲と見るか、自分の親であり当時の会長である勝久氏を解任に追いやりかぐや姫と揶揄された久美子社長を冷ややかな視線を送るのか。

世間の目にはどのように映るのだろう。

しかし、このような世間のざわめきも一時的なものだ。

芸能人のスキャンダルのように忘れさられるのも早い。

来たる7月30日の取締役会の結果が他人事ではなく自分の未来を決定づけるといえば大袈裟だが、それに近い感覚で見ている。

今回のヤマダ電機は、大塚家具の定款を変更してまで臨んでくる役員会だ。

なにも起こらなかったとはどうしても考えられない。

久美子社長、今が正念場です。

頑張っていただきたい。

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