後継者に起業をすすめる理由
2020.12.28
後継者は会社を継ぐ前に3年ほど会社を離れて、起業してみるといいと思います。
大きな事業を目指す必要はないです。
夜鳴きうどんの屋台とかいいんじゃないかと思います。
MBAなんかとるより、絶対いい。
起業する意味
起業された方なら経験あると思いますが、どれほど高い志を持っていても、ゼロから軌道にのせるのは並大抵の努力ではできません。起業家のほとんどが躓く最大の理由は、短期の資金繰りに行き詰まることです。
信用なし、実績なし、人脈なしのゼロから築きあげる場合が多いのが起業ですが、とにかく時間がかかるということ。資金繰りに行き詰まるまでに、どれだけ暗闇の中でもがけるかというところもメンタル面の強さが重要かと。
定めたゴールがあって、最初は勢いよくゴールに向かって進んでいくけど、どこかで「あれっ?なんか違う、やっぱこっちか」あっちにぶつかり、こっちにぶつかり、ああもうだめだ〜って、たまたま目の前のドアを開けたら成功の道が開けていた。ドアを開けたらすぐに成功ではなくて「小さな小さな成功」がそこにあった感じでしょうか。
その小さなものに気がつくかどうかは、あっちこっちぶつかった事が呼水になるということはずいぶん後になってから知るんですけど、起業に「どこでもドア」はないということですね。
起業と後継の両方経験する
ほとんどの場合が、そのドアを開く前に資金ショートで辿り着けないというのが現実です。でもなかなかサラリーマンしてると、あっちこちぶつかる経験はそうないですね。
企業や組織に属していればある程度のフォーマットとかテンプレがありますから、それに沿ってやっていけばぶつかっても修正早いです。しかし起業は全部自分で決めないといけない。もちろん先輩諸氏に相談はしても最後は自分で決める。当たり前です。自分のビジネスです。
だから真っ暗闇の天井から垂れ下がった一本の糸を掴み取る感覚に似ていると思います。起業家さんそれぞれの感覚は違うと思いますが、私はそう感じました。
それに対して、同族経営の承継は「リスクの少ない起業」となります。長年培った技術がある。この長年の無形であれ有形であれ資産を手中にできるありがたさはゼロイチ起業家にしかわからない。また借金はあっても、すでにキャッシュが回っている点は有利です。
また、銀行との信頼関係があるのは強いです。これは本当に強い。融資をお願いできる。なんの実績もない起業家は金を借りることができません。ですから、同族の承継は障害も多いですが、起業に比べて恵まれている要素はたくさんあります。
私が起業したころ。まずは、銀行に法人口座を開設します。定款と登記簿謄本と実印を持って銀行の窓口で手続きをするのですが、新規の法人口座を開設する場合は審査があります。メガバンクでなくても地銀でも最近は審査が厳しいです。実体のある会社かどうか。反社会勢力に加担してないか。
この二つが審査の主な理由らしいですが、実績もない、金もない、知恵と行動だけの無い無い尽くしの「しょぼい会社の審査」がはたして通るのか、ドキドキしました。
結局、審査が通って、社会に認められた気がして、またそれが嬉しくて、さっそく法人担当に挨拶に伺ったが、あっけなく門前払いされた。悔しかったが、まぁそんなもんだろう。
後継者は楽なのか
同族経営の承継は起業に比べてリスクゼロかというと、そんなことありません。今では軽減されましたが、後継者は銀行に個人保証を入れながら、相続税に伴う自社株資金を準備する必要があります。また自社株を集中させるため、いつか訪れる遺産分割協議のことも考えながら、日ごろの兄弟への気遣いが必要になってきます。
起業するということは、金融機関や取引先、社員との信頼関係の大切さ、シビアなコスト感覚は自然に身につくのが普通でしょう。役員や社員に向けて、自分は「他とは違うなにか」を主張するのに起業の経験は有益です。
この両面の経験とスキルを身につけた後継者は最強です。新感覚を身につけた次世代を切り開く人物になるやもしれません。
もちろん、簡単ではありませんが。